中学のころ、休み時間は机に突っ伏して寝ていた。隣から小声で「ふけがすごい、くすくす」と内緒話が聞こえても知らないふりをした。あの頃はどう工夫してもふけがひどくてそれがコンプレックスだった。醜い自分が嫌だった。だいたいの現実が苦痛だったのでしょっちゅうフィクションにのめりこんでいた。フィクションはフィクションでしかなくてそれがどんなに居心地のいい世界であってもいずれは現実に帰らなくてはならない、それは強く実感していたけれどあのときはフィクションなしではいられなかった。心の避難所があるのはとてもありがたいことだった。あのときの自分の狭い行動圏内で目の前の現実がすべてだったら行き詰ってぶっ壊れていたかもしれない。そういえばふと思い出したけど、あのころ『はてしない物語』を読んで「ひとごとじゃねえな…」と思った。現実に帰れなくなった人たちが白痴化して彷徨っている「元帝王の街」のくだりなんかもう、ゾクゾクするくらい怖かった。フィクションに行ったきり戻らないでいると現実の自分が破滅してしまう。バランスって大事。