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高校生のころ、あれは文化祭のときだったか、学校の駐車場でテントを解体していたら、少し知恵遅れっぽい男のひとがやってきて、骨組みを紐で縛るのを手伝ってくれた。そのひとは喋るたびに口の端から涎をぽたぽたと垂らしていた。近くで手伝いもせず駄弁っている同級生たちを横目に、そのひとは「君は若いのにしっかりしてて偉いね、まめで偉いね」というようなことを言った。僕はクラスで孤立している気まずさを紛らわすために作業していただけだったので、なんだかきまりが悪かった。骨組みを縛り終えるとそのひとはじゃあねと去っていった。僕はお礼を言って見送り、骨組みの束を搬出する作業に取り掛かった。骨組みを持ち上げると、束がガラガラとばらけだした。僕とあのひとが縛った束は紐の巻き付けが緩かったのだ。搬出を手伝ってくれた同学年の一人に「なんだこれ、ゆるゆるじゃん」と言われた。苦しかった。